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歯科矯正はいつから保険適用になる?歯科矯正相談料の仕組みも解説

歯並びを治す歯列矯正は費用が高額になることが多いですが、一般的には保険が利かない自費診療のため、予算が気になるのではないでしょうか。

しかし、特定の条件に当てはまる場合には公的な医療保険が適用されるため、治療費の自己負担を大幅に軽減できます。

また、2024年には学校検診で不正咬合を指摘された子どもを対象にした「歯科矯正相談料」が新設され、初回相談が保険で受けられる制度も始まりました。

この記事では、歯科矯正が保険適用になるタイミングや条件、保険適用時の費用負担、治療可能な医療機関などについて紹介します。

矯正治療を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

歯科矯正はいつから保険適用になる?

一般に歯科矯正は見た目の改善を目的とする治療と見なされるため、保険適用外になるケースがほとんどですが、一定の条件を満たしていれば適用になることもあります。

ここでは、歯科矯正が保険で治療できるようになるタイミングについて紹介します。

保険適用が受けられる年齢やタイミング

歯科矯正でいつから保険適用となるのか明確な年齢制限はなく、成長に悪影響を及ぼす可能性や、生まれつきの疾患による症状などの条件で決まります。

例えば、生まれつきの疾患による噛み合わせの異常が小学校低学年で判明した場合、その時点から保険適用になる可能性があります。

逆に言えば、「◯歳以上になれば誰でも矯正が保険でできる」という決まりはなく、あくまで条件次第ということです。

成長期のため開始時期は歯科医師と要相談

成長期の子どもは治療開始の時期によって治療効果が変わる可能性があるため、専門医としっかり相談して治療計画を立てましょう。

例えば顎変形症が疑われて歯科矯正が必要だと考えられる場合には、早めに検査し、治療方針を決めることが望ましいとされています。

子どもの歯並びや噛み合わせに不安がある場合は、できるだけ早く歯科医師に相談しましょう。

適切な時期に治療を開始することで、効果的な矯正が期待できます。

歯科矯正の保険適用について

矯正治療は基本的に自費診療となりますが、一部の特別なケースに該当する場合、保険が適用されます。

ここでは、保険が適用される具体的な条件や費用面のメリット、治療を受けられる医療機関などについて紹介します。

保険適用の基本条件

歯科矯正で保険が適用される条件は大きく分けて3つあり、厚生労働省が定めた例外的ケースで、噛み合わせの異常の原因が以下のいずれかに該当する場合です。

  • 「別に厚生労働大臣が定める疾患」に起因する咬合異常
  • 埋伏歯による噛み合わせ異常
  • 顎変形症が原因の咬合異常

国が指定する66の疾患(後述)が原因で噛み合わせに不調和が起きているケースや、永久歯のうち3歯以上が生えてこないケース、上下の顎の骨格がずれる「顎変形症」による咬み合わせの不調和が該当します。

このように、歯科矯正の保険適用は「美容目的ではなく、先天的な異常や顎機能の障害を改善するための医療行為」に限られています。

保険適用時の費用面

矯正治療に保険が適用されると、治療費の自己負担は原則1~3割になります。

また、子どもの場合は医療証など自治体の助成によりさらに軽減されたり、無料になったりする場合もあります。

例えば、顎変形症の患者さんが外科手術と矯正を受ける場合、自費診療では手術に約20~50万円、矯正装置に30~100万円程度かかるのが一般的です。

しかし、保険適用(自己負担3割の場合)になればそれぞれ6~15万円、9~30万円程度に抑えられます。

自治体の助成があれば、さらに軽減されることになるでしょう。

このほか高額療養費制度も利用できるため、医療機関や自治体に問い合わせ、必要な手続きを進めましょう。

保険適用治療を行える医療機関

歯科矯正の保険適用を受けるためには、治療を受ける医療機関が所定の施設基準を満たしている必要があります。

具体的には以下の基準が必要です。

  • 厚生労働大臣が定める施設基準に適合している
  • 地方厚生(支)局長に届け出ている

このような条件が必要になるため、矯正治療ならどこの歯医者でも保険でできるわけではありません。

治療を希望する際は、事前にその医院が保険矯正の指定医療機関かどうか確認しておきましょう。

歯科医院の公式サイトにある案内の参照や電話での問い合わせのほか、地方厚生局の公式サイトでも調べられます。

歯科矯正が保険適用になる対象疾患の具体例

前述した「厚生労働大臣が定める疾患」に起因する咬合異常とは、具体的にどのような病気なのでしょうか。

ここでは、対象疾患の一部例と、保険適用拡大の経緯や背景、正確な診断の重要性などについて紹介します。

厚生労働省指定疾患

厚生労働省が保険適用対象として指定する疾患は66種類あり先天性の症候群や疾患で顎・口腔に問題を伴うものが挙げられています。

例えば、以下のような疾患があります。

  • 唇顎口蓋裂
  • ゴールデンハー症候群(鰓弓異常症を含む。)
  • 鎖骨頭蓋骨異形成 など

このような疾患はごく一例ですが、共通するのは先天的な要因によって歯や顎の発育に影響が及び、噛み合わせに異常が生じる可能性が高いという点です。

指定疾患のリストは多岐にわたり、医療従事者でなければ聞き馴染みのない症候群名も多いです。

そのため、軽症だったり日常に不便がなかったりすれば、気付くまで時間がかかるかもしれません。

しかし、子どもがこのような疾患に該当すると感じた場合には、早めに歯科医師へ相談してください

すでに自費で矯正治療を始めている場合でも、適用条件に該当すれば途中から保険診療へ切り替えられるため、「もしかして」と感じた時にはやはり歯科医師への相談をおすすめします。

近年の保険適用拡大の経緯と社会的背景

歯科矯正の保険適用範囲は近年少しずつ拡大しています。

前述の厚生労働省指定疾患のほか、2024年度の診療報酬改定では新たに「歯科矯正相談料」が設置されました

学校歯科健診で不正咬合を指摘された子どもが、歯科医院で矯正の相談をする際、初回相談が保険適用になるという制度です。

これは「噛み合わせの問題を早期発見・早期対応することで将来の重篤化を防ぐ」という予防的観点や、経済的理由で治療を断念する子どもを減らしたいという、社会的ニーズの高まりが背景にあると考えられます。

実際、噛み合わせの異常は虫歯や歯周病リスクの増加だけではなく、発音障害や顎関節症など、将来的な健康問題につながる恐れがあるため、子どものうちに治療することが望ましいでしょう。

診断基準や専門機関での受診の重要性

歯科矯正で保険適用を受けるには、専門医による精密な診断が欠かせません。

顎変形症や指定疾患に該当するかどうかは、レントゲンや模型分析で判断され、診断書や検査結果を添えた申請が必要になります

学校健診で「不正咬合(要精検)」と記載された健診票や、過去の疾患診断書などを持参すると手続きがスムーズです。

また、保険矯正は指定医療機関でのみ実施可能になっているため、かかりつけで断られても専門医院や大学病院で再受診すると認められる例もあります。

歯科矯正相談料の保険適用について

2024年の制度改定で新設された「歯科矯正相談料」ですが、詳細が分かりにくいと思う方もいるかもしれません。

ここでは、歯科矯正相談料とは何か、その算定要件や対象者、実際にかかる費用の目安について紹介します。

歯科矯正相談料とは

歯科矯正相談料とは、簡単に言えば「矯正治療が保険でできるかどうか診断・相談するための費用」です。

従来、矯正治療の相談や検査は全て自費扱いで、レントゲン撮影や模型作製をすれば1~2万円以上かかることも珍しくありませんでした。

しかしこの制度により、該当者であれば保険診療で初回の精密検査と診断が受けられるようになったということです。

ただし、歯科矯正相談料でできることはあくまで「保険適用の可否を判断すること」に限られます。

言い換えれば、「保険が適用されるケースか確認するための検査と説明」の費用がカバーされる制度と理解するとよいでしょう。

算定要件

歯科矯正相談料を保険請求するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。

主な要件は、学校の歯科検診で以下の可能性を指摘された児童・生徒です

  • 歯列・咬合の異常(要精検)
  • 厚生労働大臣が定める疾患による咬合異常
  • 3歯以上の永久歯萌出不全による咬合異常
  • 顎離断等の外科手術を要する顎変形症

 

つまり、学校健診で要精検になった子どもに対して専門的な検査を行い、保険診療の対象になる歯科矯正の適応があるかどうか診断するという流れになります。

対象者と条件

歯科矯正相談料の対象になるのは主に子ども(児童・生徒)ですが、正確には前述のように「保険適用の可能性があると疑われる児童・生徒」です。

例えば学校の歯科健診で不正咬合を指摘された児童・生徒で、健診結果の所見欄に「要精密検査」と記載された場合が該当します。

この健診結果通知を持って歯科医院を受診すれば、その子どもは相談料の対象です。

もちろん、実際の検査で保険適用になる疾患がなければ最終的に治療は自費になりますが、判別のための検査・診断までは保険で受けられます。

費用負担の目安

歯科矯正相談料は、1回の相談につき420点(4,200円相当)に設定されており、患者さんの自己負担は3割の場合で約1,260円です

ただし、歯科医院によっては「初診は今まで通り自費、保険適用になると判断できた時点で保険診療へ変更する」という方針を採っていることもあるため、先に確認しておきましょう。

歯科矯正の相談から治療開始までの流れ

公的保険の適用の可否に関わらず、子どもの歯科矯正の有無は早めの確認をおすすめします。

ここでは、歯科矯正の相談から治療開始まで、一連の流れについて紹介します。

学校健診後の受診

学校歯科健診で「歯列・咬合の異常(要精検)」と指摘されたらなるべく早めに歯科医院を受診しましょう。

学校から配られる健診結果のお知らせに「要精密検査」と書かれていれば、早期の受診をおすすめします。

不正咬合の場合、早期に専門的な診断を受けることにより、適切な治療開始時期を逃しにくくなるメリットがあります。

かかりつけの一般歯科でも構いませんが、可能であれば矯正歯科の認定医や専門医のいる歯科医院を受診すると、より専門的な診断が可能です。

初診・検査

受診したら、まず歯科医師による問診と口腔内のチェックが行われます。

多くの場合は問診の後、以下のような検査に進むことが多いです。

  • レントゲン撮影
  • 口腔内・顔貌写真
  • 歯型の採取
  • 咬合分析・機能検査

検査中、疑問があれば遠慮なく質問しましょう。

確定診断前のため、初診の段階では断言はできないことも多いですが、おおよその見通しは説明されるでしょう。

診断結果と手続き

検査・分析の結果、保険適用になるかどうかの診断結果が伝えられます

保険適用になると診断され、その歯科医院が保険矯正の治療まで実施できる場合(矯正歯科の施設基準届出医療機関の場合)は、そのまま治療計画の立案に入れます。

実施できない場合には、該当の医療機関を紹介してもらうことも可能です。

保険外の場合の対応

診断の結果、「保険適用外」と判断された場合でも歯科矯正を希望する場合には、医療費控除の利用をおすすめします。

歯科矯正で医療費控除を受けられるのは、症状の改善を主にした「治療目的」に限られており、見た目を改善するための「審美目的」では対象になりません。

しかし小児矯正のほとんどは、その目的が咬み合わせの問題を解消する、いわば「治療目的」に当たります。

治療目的であれば医療費控除の対象になるため、費用が年間10万円を超えた場合、確定申告で控除手続きが可能です。

まとめ

子どもの歯並びについて「矯正が必要かな?」と思ったら、まずは矯正歯科の専門医に相談することが重要です。

成長期の子どもでは治療開始のタイミングが結果に大きく影響するため、適切な時期を逃さないよう、歯科医師と相談して計画を立てましょう。

また、2024年からは「歯科矯正相談料」が始まったため、学校歯科健診で不正咬合を指摘された場合、初回相談時の検査・診断が保険適用されるようになっています。

「まずは相談だけでも」と思ったら、ぜひ矯正歯科で相談してください。

医療法人社団神谷歯科クリニックでは小児歯科に対応し、可能な限り歯を抜かない非抜歯矯正治療をはじめ、お子様の心身に負担が少ない治療計画を提案しています。

歯科矯正相談料に関しても詳しくご説明できるため、不明な点はお気軽にお問い合わせください。

記事監修:神谷 隆裕

歯科医師/日本顎咬合学会認定「咬み合わせ認定医」/DNA研究会 認定医/日本口腔インプラント学会 専門医/国際インプラント学会AIAI 認定医

歯のクリーニング・歯石取りフッ素塗布など歯科衛生士が優しく対応。
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